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2020年10月30日

働き方改革の実務 同一労働同一賃金① 

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働き方改革関連法は、どのような雇用形態を選択しても、待遇に納得して働き続けられるようにすることで、多様で柔軟な働き方を選択できる社会を目指しています。

具体的には、パートタイマ労働者、有期雇用労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規労働者と正社員との均等・均衡待遇を推進するということですが、こうした取組みはこれまでも各雇用形態を対象とする関連法ごとに数次の改正によって図られてきています。
ここでは簡単にこれまでの経緯について振り返っておくことにしましょう。

まず、パートタイム労働法については、平成19年、平成26年のパートタイム労働法の改正によって、職務内容や人材活用の仕組みなどが正社員と同じパートタイム労働者については、正社員との差別的取扱いが禁止されたほか、パートタイム労働者の雇入れの際には、事業主による雇用管理の改善措置についての説明が義務づけられるなど、均等・均衡待遇に向けた規定が整備・拡充されてきています。

また、有期雇用労働者については、平成24年の労働契約法の改正において、有期雇用労働者の無期転換や雇い止めに関するルールに加え、無期雇用労働者との不合理な労働条件を禁止する均衡待遇の規定が設けられています。

最後に派遣労働者のついてですが、平成24年、平成27年の労働者派遣法の改正によって、派遣労働者の賃金等の決定にあたり、同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡に配慮することや、派遣元から待遇の均衡を図るために考慮した内容の説明を受けられるようにするなど、均衡待遇の確保・推進の規定が設けられています。
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しかしながら、こうした法改正にもかかわらず、雇用形態の違いを理由とする不合理な待遇差が解消されたとは言いがたいのが現状です。ですから、働き方改革関連法は、非正規労働者と正社員との不合理な待遇差の解消に向けて、均等・均衡待遇に関するルールを統一的に整備したものといえます。

そこでは、従来の制度から一歩進めて、均等・均衡待遇規定の明確化を図るとともに、待遇に関する事業主への説明義務の強化や、行政による履行確保措置及び紛争解決制度の整備などが法改正に盛り込まれました。

また、待遇差が不合理であるか否かの判断に際して、原則となる考え方や具体例を示した「同一労働同一賃金ガイドライン」も策定されています。

今後は、従業員1人ひとりの能力をいかに発揮させていくかという観点から、正社員だけでなく非正規労働者も含めた、多様な働き方に人事・賃金制度の構築・運用が重要になってくるものと考えられます。

福岡労務ニュース2020年8月号から

井上晴司

編集者:井上晴司

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