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2020年11月2日

働き方改革の実務 同一労働同一賃金② 

「同一労働同一賃金」とは、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得して働き続けられるよう、正社員と非正規雇用労働者との不合理な待遇差の解消を図ることだと言えます。

パートタイム労働者については従前のパートタイム労働法8条、有期雇用労働者については労働契約法20条においてそれぞれ均衡待遇規定が定められていましたが、これがパート・有期労働法の成立によって同法8条(不合理な待遇差の禁止)に統合されました。

さらに、均等待遇では従前のパートタイム労働法9条(差別的取扱いの禁止)の定めを有期雇用労働者にも適用拡大し、パート・有期労働法9条(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)として定められています。

均等・均衡待遇の詳しい内容に入る前に、パート・有期労働法に関する基本事項についてみておくことにします。
まず、同法の適用を受けるのは、パートタイマー、アルバイト、契約社員など名称の如何を問わず、パートタイム労働者及び有期雇用労働者に該当する人になります。

例えば、パートと呼ばれていても、通常の労働者と同一の所定労働時間である場合には、適用対象とはなりません。
ただし、このような人であっても、期間の定めのある労働契約を締結している場合は、有期雇用労働者として同法の適用を受けることになります。

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ですから、この法律の適用対象となるのは「短時間勤務の無期雇用」「短時間勤務の有期雇用」「有期雇用のフルタイム勤務」の3態様ということになります。

一方、不合理か否かの待遇差の比較対象となるのが「「同一の事業主に雇用される通常の労働者」です。
「通常の労働者」とは、具体的には無期の労働契約を締結しているフルタイム労働者ということになります。
その判断は、雇用形態のほか、長期雇用を前提とした待遇かどうか、賃金の支給形態や賞与、退職金、定期的な昇給・昇格の有無など賃金体系等を総合的に勘案して決せられます。(通常の労働者のタイプが複数存在する場合もあります。)

また、比較対象となるのは「同一の事業主」に雇用される労働者です。従前のパートタイム労働法では、「同一の事業所」に雇用される通常の労働者が比較対象でしたが、「事業主」単位で判断することに変更されました。それというのは、改正前の労働契約法20条が事業主を単位として、有期雇用労働者と無期雇用労働者との労働条件の不合理な相違を禁止していたこと、また、近年は非正規化が進み、同一事業所には待遇を比較すべき通常の労働者が存在しない場合がある、といったことなどによるものです。

福岡労務ニュース2020年9月号



井上晴司

編集者:井上晴司

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