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2024年11月20日

割増賃金の計算の基礎から除外できる手当は何か

割増賃金の計算の基礎となるのは、「通常の労働時間または労働日の賃金」です。割増賃金を支払うべき労働(時間外・休日・深夜の労働)が深夜でない所定労働時間中に行われた場合に支払われる賃金を指します。

この中から除外できる賃金を、労基法37条5項と労基則21条で挙げています。

①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1か月を超える期間ごとに支払われる賃金の7種類となります。制限的に列挙されているものであり、、これらの手当に該当しない「通常の労働時間または労働日の賃金」はすべて割増賃金の基礎となる賃金に算入しなければなりません。また、手当の名称にかかわらず実質によって取り扱います。

基準は解釈例規などで示されており、例えば家族手当は、扶養家族数またはこれを基礎とする手当額を基準として算出した手当を指します。物価手当や生活手当などの名称でも、この基準で算出する部分については家族手当として扱い、除外賃金とすることができます。一方、独身者にも支払っていたり、家族数に無関係にされたりしていると、その部分は家族手当に当たらず除外賃金とすることはできません。

子女教育手当は、教育を要する子女の数という個人的事情により支給される場合に除外手当に当たります。別居手当は、配偶者のある労働者だけに対し、勤務を理由とする別居という事実を条件として支給する手当などが該当します。東京労働局の「しっかりマスター割増賃金編」では、「別居手当・単身赴任手当」と単身赴任手当を並列して記載しています。

7種類以外の賃金については、基本的に割増賃金の計算の基礎となる賃金に含めます。たとえば、ある作業に就いた際に支給される特殊作業手当があり、その作業を割増賃金が発生する時間に行った場合、特殊作業手当は通常の労働時間または労働日の賃金に含まれます。逆に、通常の労働時間または労働日の賃金に該当しないものは含めなくてもよく、勤務の一部または全部が深夜に行われる看護等の業務に対し支給する夜間看護手当は、算入しなくても差し支えないとされています。

福岡労務ニュース 2024年11月号の記事を再構成しました。

 

 

井上晴司

編集者:井上晴司

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