2025年3月15日
入社・契約更新で労働契約を結ぶときのポイント 3
・・・テーマ3 労働契約 Q&A・・・
テーマ3では、2024年4月改正部分を中心に「労働契約」のよくある疑問について、Q&A形式でご紹介します。
Q1.2024年4月の改正を受けて、すでに雇用されている労働者に対して、改めて新たな明示ルールに対応した労働条件の明示は必要ですか?
A1.必要ありません。新たな明示ルールについては、2024年4月1日以降に締結される労働契約について適用されます。ただし、労働条件について労働者の理解を深めるために、再度の明示を行うことは望ましい取り組みです。
Q2.A1.の回答をふまえ質問ですが、有期契約労働者についてはどうでしょうか?
A2.有期契約労働者については、契約の更新は新たな労働契約の締結であるため、2024年4月1日以降の契約更新の際には、新たなルールに則った明示が必要となります。
Q3.就業規則を明示したり写しを交付したりすることにより、労働条件を明示する形でも問題ありませんか?
A3.可能です。使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は「その就業規則で定める労働条件によるものとする」とされています。ただし、就業規則に記載していない事項については、別に明示したり書面を交付したりする必要があります。
Q4.就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲の明示について、“変更の範囲”とは、当該労働契約の期間中における変更の範囲を指すという理解で合っていますか?
A4.その通りです。なお、有期労働契約が更新された場合にその更新後の契約期間中に命じる可能性がある就業の場所及び業務については、改正労基則において明示が求められるものではありません。ただし、労働者のキャリアパスを明らかにする等の観点から、更新後の契約期間中における変更の範囲について積極的に明示することが考えられます。
Q5.日雇い労働者の雇用を検討していますが、日雇い労働者は、就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲の明示について、“変更の範囲”を明示する必要があるのでしょうか?
A5.必要ありません。日雇い労働者については、その日の就業の場所及び従事すべき業務を明示すれば、「労働契約の期間中における変更の範囲」も明示したものと考えられます。
Q6.有期労働契約の更新回数の上限とは、「契約の当初から数えた回数」、「残りの契約更新回数」、「通算契約期間の上限」のどれを書いたらいいのでしょうか?
A6.労働者・使用者間での混乱を避ける観点からは、「契約の当初から数えた更新回数」または「通算契約期間の上限」を明示してください。その上で、現在が何回目の契約更新であるか等を併せて示されると良いでしょう。
Q7.自社においては、有期労働契約の更新上限について、更新上限がありません。その場合でも、更新上限がない旨の明示を必ずする必要はありますか?
A7.必要ありません。改正労基則では、有期労働契約の更新上限を定めている場合にその内容を明示することが求められています。
Q8.有期労働契約の更新上限の明示について、「雇用期間の終期」を定めています。例えば、「契約更新した場合でも最長令和 10 年3月 31 日までとする」といった当該終期の明示をもって「通算契約期間」の明示とすることは可能でしょうか。
A8.可能です。「雇用期間の終期」は「通算契約期間の終期」と同義であり、雇用期間の終期を明示することで労働者が有期労働契約の更新上限を理解することができるため、通算契約期間の明示に当たります。
Q9.「無期転換申込」の申込は口頭で行ってもいいのでしょうか?
A9.「無期転換申込」の申込について、口頭で行っても法律上は有効ですが、後日、申込みをしたかどうかの争いが生じやすいという問題があるため、できるだけ書面での申込みを行うことをお勧めします。また、申込みを受けた事業主の方は、その事実を確認するための書面を労働者に交付しておくことをお勧めします。

編集者:井上晴司
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